「不思議な少年」第5巻

otemoto2006-07-25

待望の第5巻がようやく書店に入荷されたのでさっそく購入しました。それにしても正式な発売日より4日遅れるとは。東京との格差をひしひしと感じます。

さて、この5巻は全部で5話収録されています。他の巻と比べるとエピソードは多いのですが読後感がイマイチな作品が何話かあるので、必ずしも「お買い得」と言えるわけではありません。「不思議な少年」という作品はさまざまな時代、場面で少年と出会うことによって人間の本質を浮かびあがらせ、見るものに「人間とは何か?」を深く考えさせてくれる良作です。

しかし5巻、具体的には未来世界にタイムスリップした少年の話や、52年後に再会する男仲間の話などは単純に「良い話」というか、主題が明示されているぶん登場人物の心情について想像の余地が限られるため、作品に深みが感じられないのが残念です。逆に、言っていることがさっぱり分からない話(40過ぎで転職したOLの話)があるでそれも困ってしまうのですが。

その辺の評価は読者がこの作品に対してなにを求めているのかで異なると思うのですが、上記の観点から私は駆け落して結婚した老夫婦のエピソードがもっとも感動を受けました。少年を研究している民族学者のエピソードも面白かったのですが、あれはテーマよりもドラマで魅せているのでまた評価の質が違ってきます。