思い出の限界

仕事中に車で病院に向かう途中にふと考えた。
自分の最も古い記憶は何歳の頃のどのようなものなのだろうかと。

それこそ高校から小学生そして幼稚園のころまでの出来事はある程度記憶に残っている。しかし意外に楽しいことより挫折や失敗、そして失恋などのしんどいことの方が多かったのは不思議だ。

こうして時代を遡って記憶を辿っていくと最後にたどり着いたのは保育園の時の記憶である。さすがにこの頃になると具体的に何かをしたとかはほとんど憶えていない。憶えているのは保育園の外観や着ていた制服、そして大嫌いだった昼寝の風景などである。

それより昔の記憶となるとこれがきれいさっぱり消えてしまってまったく思い出せない。食う・遊ぶ・寝るの繰り返しだったからなのかもしれないが、トラウマでも何でもいいからひとつくらいは憶えていてもいいと思うのだが・・。

夕食時にこの話を相方にしてみると、偶然にも同じく保育園までの記憶しかなかった。もっとも彼女は2年間通っていたので年齢的には私より1年昔の記憶があることになるが。

ともかくふたりとも保育園時代の記憶までしか残っていないということは、それほど保育園における初めての集団生活が刺激的な体験だったということだろう。

余談になるが、私には姪っ子が二人おり、彼女たちには「おてもとにぃにぃ」と呼ばれて帰省したときにはずっと一緒に遊んでいるくらいなついている。そんな彼女たちも今年の春から保育園に通うようになった。しかし仮に人間の記憶の限界が上記の通りであるのならば、彼女たちも私とのこれまでの思い出を忘れてしまうのだろう。そう考えると無性に寂しくなってしまった。