撤退

前日の夜に出発し、相方の入院先の病院に行く。平日なので有給休暇を取って仕事は休んだ。通常は早産の恐れでもない限り陣痛がくるまで入院することはないが、予定日を大幅に過ぎても一向に生まれる気配がないため、入院したうえで薬剤を服用して陣痛を促すことになった。


ところが待てど暮らせどまったくその気配が現れない。投与前に院長の説明があり、薬剤の効果が現れない例も多いと言っていたが、どうやらその通りになってしまったようだ。結局2日たっても陣痛がこなかったので、退院して自宅でその時を待つことになった。


それにしても普通これだけ遅れると胎盤の機能が衰えてきて胎児にとってはよくないのだが、モニタ越しに見る子供はいたって元気である。体重も3キロを少し超えた程度で、決して出産に支障をきたすほど大きいわけではない。むしろ最近では小さい部類に入るだろう。


このような諸々の事象から推測するに、どうも予定日自体が怪しく思えてきた。予定日は最後に生理のあった日を基準に算出するので、その日を覚えていないとどうしても曖昧になる。生理不順の場合ならなおさらだ。


どれだけ遅くなっても胎児の状態に問題がなければ特に心配することはない。意気消沈した相方にそう言い聞かせ帰路へついた。